Chapter 30

FINAL STORY
WOODLAND SCHOOL
………
……
目の前に細い道があった。
周りを木々に囲まれた、寂しい場所。
あゆあゆ「ここは…」
ボクはこの場所を知っていた。
秋子「ふふ…、気づいたようね」
秋子「ここがこの世界のはじまりの場所よ…」
???「そこまでだ!!」
子供特有の高い声。それが周囲に響き渡る。
あゆ「ちげーよ」
大きな枝の上に立っていたのはあゆちゃんだった。
叫び終わると、あゆちゃんは腰を落とし、一気に飛び上がろうとする。
あゆ「行くぞっ!!」
あゆあゆ「危な…」
つるっ。遅かった。
あゆ「うぐ〜〜〜っ!?」
ごきっ。
秋子「……」
鈍い音がした。あゆちゃんは頭から落ちた後、痙攣をして動かない。
あゆ「あんなの言うな。殺るぞコラ」
あ、復活した。
あゆあゆ「って折れてるーーーっ!?」
あゆあゆ「今度は逆方向ーッ!!」
あゆ「UGUUUUUUーーーーッ!?」
あゆ「ふう。死ぬかと思ったよ」
あゆあゆ「普通死んでるってば」
あゆ「と、ゆーわけで!!」
秋子「ふふ…、いまさら脇役が舞台に上がっても邪魔なだけですよ」
あゆ「ボクを甘く見ていると火傷程度じゃすまないよっ」
あゆあゆ「ばらしてどうするのっ!?」
あゆ「…あ」
秋子「簡単なオーラ別性格判断よ。放出系は短気で大雑把なの」
…あってる。
あゆあゆ「ゆ、祐一君ッ!?」
その男の子は、祐一君にそっくりだった。見た目も服装も、瞳を除いた全てがボクの知っている祐一君だった。
ネ右一「あ、あゆ!?」
え…!?
あゆ「ゆ、ネ右一君!?」
一瞬、あゆちゃんが男の子に意識を向ける。それは致命的な一瞬だった。
秋子「隙有りよ、あゆちゃん…」
秋子さんのの体が光輝く。その懐から怪しげな瓶を取り出し、あゆちゃんの口の中に中身をそそぎこむ。
秋子「一撃必殺! 謎ぢゃむ!!」
ごとっ。音がした。
まるで、重たい石を地面に落としたような音。低くて…鈍い音。
秋子「了承(一匹)」
そして、ゆっくりと時は流れ出す。
あゆあゆ「う…そ…?」
死んじゃった…?その時、ボクは小さな呟きを感じた…。
あゆ「…ゆ…う…いち…く…ん」
小さな声。苦しそうな声。少年を呼ぶ声。
ズキン。
頭が痛い
ボクは知っている。この痛みを。
あゆあゆ「ボク…ボクは…」
残り僅かなピースが…少しずつ…少しずつ…。
痛みが少しずつ強くなっていく…。
秋子「目覚めが…近いわね…」
再び、風に乗って小さな声がボクの耳に届く。
それは、たった一つの言葉。
約束。
そう、ボクは約束をした。
あゆあゆ「祐一…く…ん」
秋子「全てを思い出したようね…」
全て。
ボクは全てを思い出した。
秋子「ふふふふ…。いよいよ終幕ね、あなたも…この私も…」
その時、影が動いた。先程までピクリとも動かなかった影が。
それは一人の少年だった。
秋子「寝ていなさい。もう終わるのだから…」
そう、終わる。
あゆあゆ「全てが…この世界が…終わる…」
そして…目覚める…。
???「そうはいかねえぜ、秋子さんよ」
女の子の声がした。
美汐「黒猫と呼ばれた美汐様を!!」
あゆあゆ「みしおちゃんっ!!」
木々の間から一人の少女の姿が現れる。
秋子「来ましたか…」
美汐「へへ…、なかなかオレもしつこいだろ?」
美汐「勇者が勝ち、魔王が負ける。それでフィナーレにしようぜ」
秋子「フィナーレ、ですか。実にいいセリフですが…とうに幕は降りていますよ、美汐ちゃん」
ズキン…ズキン…ズキン…。
ボクの中のボクが目覚めつつある…。
わかっている。
ボクが目覚めればどうなるか…。
あゆあゆ「い、いやだよ…。ボク…死にたくないよぉぉぉっ!!」
美汐「秋子ォッ! テメェあゆあゆになにをしやがったぁぁぁっ!!」
秋子「思い出させただけですよ…。記憶を…約束を…全てを!!」
美汐「あゆあゆを助けて、テメェを倒すっ!!」
両の手から発せられる光。
寸前でかわすみしおちゃん。
秋子「なぜ私たちは…」
攻撃が止む…。
秋子「物語の登場人物なの…」
美汐「物語…。オレ…オレたちが…?」
秋子「ふふ…確かめてみますか? あなたも…私もともに…!」
美汐「確かめるだと!?」
美汐「クッ!!」
秋子「ふふ…、すでに気づいているはずよ」
秋子さんの放った光に吹き飛ばされ、みしおちゃんが雪上に倒れ伏す。
秋子「わかりますか…。このバカげた世界が…この閉ざされた世界の真実が」
秋子「全てはこの少女の思い描いた物語を作るためだけの存在なのよ…」
あゆあゆ「みしおちゃんっ!!」
秋子「救いよ…。私の悪夢もまもなく終わる…」
美汐「オレの…思い…。それも…夢…?」
秋子「夢…ですよ」
秋子「あなたの感じた友情など、このコに創られた設定です…」
美汐「設定…」
哀しそうな視線をみしおちゃんに浮かべ、秋子さんは頷いた。
そんなこと…。だけど…ないとは言いきれない。
秋子「全てが消える…全てが…」
みしおちゃんの手から呪唱銃が落ちる。その表情は、哀しみと絶望が渦巻いていた。
だが。その時だった。
???「あははーっ」
木々の広場に響く声。
???「だまされてはいけませんよー」
それはボクの背後、巨木の裏から聞こえてきた。
???「だまされてはいけませんよ、美汐さん」
ギュッ…ギュッ…。雪を踏みしめる音が聞こえてくる。
秋子「あなたは…まさか…!?」
秋子さんが…動揺している…?あの秋子さんが…!?
少女「もう一度言います。だまされてはいけませんよ、美汐さん…」
柔らかそうな髪が風に揺られていた。
美汐「く…倉田佐祐理…。テメエ今までどこに…」
佐祐理「ヒーローはいつも遅れてやってくるんですよ(にやそ)」
秋子「ふふ…、いまさらこの物語に加わりたいのですか…」
秋子「私を倒す勇者という設定を持つ少女、倉田佐祐理よ…」
美汐「佐祐理…」
佐祐理「あなたを倒すのは佐祐理ではありませんよ」
佐祐理「…銃を取りなさい、美汐さん。その程度であきらめるんですか…?」
ゆっくりと…怪我をした部分を押さえながら、みしおちゃんは銃を手に取った。
美汐「…ぐっ…」
佐祐理「あははー。今のままでも充分カッコ悪いですよ」
美汐「余計なお世話だぜ…」
佐祐理(にやそ)
秋子「ふ…ふふ…。いまさら立ってどうするのです…? この滅びの時に…」
美汐「オイオイ…バカ言えよ」
美汐「そうさせないためにここにいるんだよ。このオレはね…」
佐祐理「…わかりました」
秋子「…いいでしょう」
美汐「秋子さん。アンタが言う悪夢が終わっても…オレたちの物語は終わらないぜ…」
美汐「たとえどんな形で生まれようとも、オレたちは生きている」
秋子「さぁ、行きますよ!!」
佐祐理「力よ…」
視えない力が…勇者の力がみしおちゃんの銃へと集まっていく。

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